■生まれ変わりの村とは

『生まれ変わりの村1』が出来るまで(4)

要旨:
河出書房が一ヶ月をかけた会議の後、OKの返事を出しました。この時点ではまだ正式な契約ではないにせよ、紆余曲折の末に企画が通ったのでした。
出版に向けて、様々な戦略を考えました。
通常の出版では、作家自身の一般大衆に対する宣伝活動が禁じられています。また、著作の内容は出版社のものになるため、原稿を直接送ることも出来ません。
今回の本は表紙も自分で作製し、本の価格も私自身が決めていますが、これも自費出版でなければ出版社が決めることになり、作家自身が関与することが出来ません。
私は全ての面で、自費出版であることのメリットを最大限に活用することを考えています。
 

2008/03/10 - 河出書房がOKしました

 今、メールが来ました。やっと会議でOKが出たそうです。
 紆余曲折の末であるにせよ、河出は引き受ける気になったのです。
 担当者と会った時、シビアな質問が飛び交ったことは既に書きました。でも担当者が言った最後の言葉は「これはイケるかも知れない・・」でした(笑)。
 
2008/03/11 - 「これは今までには無いパターンだ」

 これはイケるかも知れない・・と言う前の一言が、表記のフレーズです。
 話し合いの最後は、事例が時系列に並べられていると言う点に集中されました。時系列ということは、そこに「作者の意図」が入らないわけです。
 編集していないビデオテープを見せつけられるようなものです。大手が降りた理由は、ここにありました。子供の作文ではあるまいし・・(笑)。
 会社で報告書を作るときだって、だらだらと時系列で書かれたら、上司から書き直しを命じられます。
 取捨選択も無し、並べ替えも無し・・。担当者は、こう呟くしかありませんでした。「これは今までには無いパターンだ。」
 ということは、本というのは全て「意図」で書かれていたものばかりだったのです。その「意図」を出来るだけ抜いた原稿が目の前に置かれていたのです。
 一ヶ月かかったのも、分かるような気がしませんか?
 
2008/03/12 - 「これはイケない」

 河出の編集会議に通ったという知らせを受けたその日から、私は「これはイケない」とイメージすることを始めました。
「これはイケない」というのは、やはり初版で絶版になる本のことです。
 その結果、また表紙のコピーが変わってきました。「これはイケる」という視点では見えなかったものが見えてきました。当分、この視点を保とうと思います。
 成功したいのなら、そのイメージを描けという人が多いです。
 しかし風林火山で作戦がうまくいっていた頃の山本勘助は、決してそういう路線ではありませんでした。敵のあらゆる攻撃を考えて、自分の作戦を練っていたと思います。
 しかし川中島では、霧が晴れる寸線にそれに気づきました。
「敵もこの霧を利用しているとしたら・・。」
 呟くと同時に霧が晴れ、そこには上杉軍の大軍があったのでした。
 
2008/03/16 - ニュースリリース

 ニュースリリースというのは、発表すべきブツが、どういう長所を持っているかを並べまくります。今回は本なので、本の帯に書かれるようなことを書きまくります。
 しかしそういうことをやっても、今まで一度も記事になったことはありませんでした。
 そりゃあそうでしょう。訳も分からない作家の本を、送られてきたニュースリリースだけで記事にするわけありません。
 では昨日から今日にかけて、私にどういう変化が起こったのでしょうか・・。
 それは本の中で述べられるデータの一つを取り上げて、論じて、送るのです。言い方を変えれば、ある部分だけを抽出して、解釈して送るのです。
 しかも下位の問いを引っかけて書こうかと思います。それを定期的に送るのです。
 これがどうなるかは、予想が付きません。
 
 もちろん本の概要を書いたペーパーも付けます。でもメインは「部分」です(笑)。
 バイクで言えば、バックミラー(サイドミラー)一つを取り上げて書くのです。
 以前私はBMWのバイクに乗っていました。あのバイクは非常に良く出来ています。
 高速道路で雨が降って来ても、人間は全く濡れないのです。
 高速道路では止めてカッパを着ることが出来ないので、この機能はとても重宝でした。
 その秘密の一つがサイドミラーにあったことを知って、えらく感動してしまいました。
 つまりサイドミラーひとつから、BMWのバイクの素晴らしさを語れてしまうのです。
 しかしそれは買ってから知ったのです。
 BMWの広告を任された会社も、さすがに高価なバイクを、サイドミラーだけで語ることは出来なかったのです。
 
 中央高速で土砂降りに遭いました。しかしBMWのバイクは60キロ以上で走っていると、濡れないのです。
 私はその日、法事だったので礼服にネクタイです(笑)
 でもネクタイはヒラヒラ・・涼しい顔で乗っています(笑)
 抜かしていく車が、とても奇妙な顔で私を見ていきます(笑)。
 インターチェンジに着く直前、急ブレーキをかけて、陸橋の下で停止しました。
 BMWのバイクにはABS(オートマチック・ブレーキング・システム)が付いているので絶対にスリップしないのです。
 橋の下で降りると、ゆっくりとカッパを着ました(笑)。
 但し、欠点もあります。60キロ以上で走っていると、風が全く当たらないのです。夏は暑くて・・(笑)。
 普通のバイクは逆です。ヘルメットのフードを外して走ろうものなら、風が強く当たり、呼吸困難になるくらいです。
 このBMWのバイクのとき、一時停止違反の車と衝突するのですが・・警察の調査では次のように言われました。
「ABSはスリップを防止するために停止距離がほんの少し長いのです。ABSが付いていなければ森田さんは衝突しないで済みました。」
 
 身体のちょっと外側に、強い流れの空気の壁が出来ているのです。雨はその壁にはね返されるのです。つまり外から見ていると、私の身体の少し外側で、雨が全部弾かれているのです。
 前方を見ていると、雨が私に向かってくるのですが、私の顔に当たる直前で上にはじき飛ばされます。その流線を、サイドミラーが作り出しているのです。
 ハンドルから手を離してちょっと外に出すと、風の壁を通り抜けて、手のひらに初めて雨が当たります。
 BMWは、この研究のためにバイクを風洞に入れて、何年も実験したと言われています。
 失敗に失敗を重ね、テストする人は何度もずぶ濡れになったそうです(笑)。
 
2008/03/16 - ニュースリリースも自費出版でないと出来ない

 ところで今までは、作家自身がニュースリリースを出すことが出来ませんでした。なぜならば、「作家は一般大衆に対する宣伝活動をしてはいけない」と出版契約書には入っているからです。
 これを知っている国民も、少ないと思います。私も知りませんでした(笑)。
 不思議研ではメルマガや『不思議の友』で宣伝していますが、あれは一般大衆が相手ではないから良いのです。
 つまりほとんどの権利が出版社に移ったので、それを宣伝することが出来ないのです。
 しかし自費出版は出来ます。だって権利は作家が保有しているからです。
 せっかく出来るのに、全くやらないのも損しているみたいなので、ニュースリリースも再浮上したのです(笑)。
 
2008/03/17 - 人の関心は大それたことには無いのではないでしょうか

 富士通で、辞表を出してから受理されるまでの二ヶ月半、私は広報部勤務でした。
 毎日ニュースリリースとかプレスリリースとかを作り、メディアに流していました。
 無視されたことはありません。それどころか何紙(何誌)に取り上げられたかを競う毎日でした。朝日、読売、毎日、産経、日経、その他業界紙・・
 しかし全てのメディアに記事として出ても、富士通にコンピュータの注文が殺到するわけではありません(笑)。
 一番大きな効果は何だと思いますか? 社員の士気高揚なのです。
「俺の勤めている会社は毎日メディアに取り上げられている。そんな最先端に会社にいるんだ!」
 特に営業マンにとっては大きいです。顧客先に置いてある新聞に自分の会社の記事が出ているのですから・・。
 そして社員が自分の会社の動向を知るのも、大抵は新聞記事からなのです。
 なのでメーカーの社員は、新聞を開いた時、真っ先に探すのが自分の会社の記事だと思います。そこに最も感心があるからです。
 ということは、今回の『生まれ変わりの村』のニュースリリースを流す際に大事なのは、読む側に感心のあることを提供することだと思います。
 当たり前のことですが、意外に忘れられています。自分の発表したいことがイコール世界のニュースだと、勘違いしている場合の方が多いと思います。
 自殺しても天国に行けることも大事だと思います。
 しかし人の関心は、そんな大それたことには無いような気がします。
 
2008/03/17 - ブツとしての本を作る過程

 今社内では、本の中身を作っています。
 字の書体はどれを使おうとか、字は少し大きくしようとか、全て自分達で作っています。
 来週は紙の見本を持ってきてもらい、どの紙を使って刷るかを決めます。
 今まではこうではありません。原稿を書き上げた後は、全て出版社の仕事でした。どんな本になるかは、出来上がってみないと分かりません。
 昔、万葉集が出来た頃は、作者が自筆で書き、それに表紙を付けたと思います。その全てが作家の仕事だったと思います。
 そして結構楽しいのが、後半の仕事だと思うのです。
 でも世の中の多くの自費出版作家は、後半の部分を自費出版してくれる会社に投げてしまっているのではないでしょうか・・。なんともったいない(笑)。
 
2008/03/18 - 本の価格を作者が決める

 今まで、本の価格というのは出版社が決めるものでした。しかし今回は、私が決めるのです。本来、こうあるべきだと思うのですが、いかがでしょうか・・。
 だって書いたのは本人ですし、価値はその人が決めるのが本当だと思うのです。
 そして今回は、ちょっとした変化がありました。なぜかと言えば、今までの本はすべて「税込みで1500円」でした。
(本屋さんに並んでいる本を見れば分かりますが、なぜか外税です。これは特別に認められている商品なのでしょうかね?)
 今回は税無し(外税)で1500円です(笑)。
 なぜかと言えば、長期展望に立っているからです。消費税はそのうち7%にもなることを予測しているからです。
 そんな時、「運命におまかせ」のように1429円では1529.03円になってしまうからです。0.03円損をします(笑)。
 
2008/03/18 - タダほど高いものはない?

 また気が変わりました(笑)。
 ニュースリリースやプレスリリースは、いわゆるマスメディアが対象ですよね・・。そのマスメディアにタダで記事を書いてもらうという戦略です。
 それがなんか、引っかかるのです。
 まず、タダより高いものはないと言います。
 次に、こういう形で有名になると「あいつはメディアのお陰で有名になった」と言われます(よほど有名にならなければ言われませんが(笑))。
 しかし高い金を払ってコマーシャルを打っている会社は「あの会社はメディアのお陰で有名になった」とは言われません。
 新聞の下に書籍の広告を出しているものは、「可愛い」と思われます(笑)。
 しかし記事の書評欄に取り上げられたものは、あんまり可愛いとは思われません(笑)。
 しかも一回記事として出ると、次はバッシングの危険にさらされます。
 広告として出している限り、バッシングというのは非常に少ないのではないかと私は思います。
 
2008/04/05 - 「誰もが自殺者と同じ所に行った」

 もしも本の帯に「誰もが自殺者と同じ所に行った」と書いたらどうでしょうか・・。主語が変わるだけで随分と変わるものです。
 これだと「自殺者と一緒にしないでくれ」とか言う人まで出そうです。そういう人は「俺はちゃんと生きてきた。にもかかわらず、同じ所に行くとはヒドイ」という意識を持つと思います。
 これは自殺者に対する差別だと思います。「自殺したヤツは地獄に堕ちるべきだ」という意識があるのだと思います。
 そういう意味では「自殺しても天国に行けた」が自殺助長になると指摘する人の意識は、何か変です。
 
2008/04/06 - 「あいつと一緒にしないでくれ」

 人にはプライドというものがあります。高みを生きている人も底辺を生きている人も、それぞれプライドがあると思います。
 贈収賄で逮捕される政治家とかを見ると「ざまあみろ」と思う人も少なくないはずです。連中はあの世ではロクな所に行って欲しくないと思います(笑)。
 しかし生まれ変わりの村の報告によれば、贈収賄のヤツがあの世で車に乗っていたりするのです。
 そういう意味では、「同じ所に行った」というのは正確ではありません。連中の方があの世でも良い暮らしをするのですから・・(笑)。
 貧乏人は悪いことをしていないので(単に稼げなかっただけですが)、良い場所に行けると思っています。それが貧乏人の最後のプライドでもあります。
「あいつと俺を一緒にしないでくれ」
 人はこうしてあの世の審判を望むようになるのだと思います。 
 この世は不平等です。その不平等の帳尻は、この世では合いません。
 なので「せめてあの世で帳尻を合わせたい」と思うのではないでしょうか。